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  -王東順- 【エフドットコム】 一億円の微笑み






深夜0時のロケ現場
「弁当なんとかしろ!」とどやされ私は…


「春はポカポカ、昼食は野外でお弁当」なんていうシーンを見かけるようになった。実はテレビ局とお弁当は密接な関係にある。
なにしろ、番組収録は、時間に追われているのが常。従って休憩1時間とって、食堂へ行くなんてことは先ず無い、いつも弁当の出前になる。大型番組になると、1回で1000個位とることもある、つまり一番組で1000人が働いている訳だ。
最も理想的な弁当は冷めても美味しい弁当だが、これが難しい。
タレントさんの嗜好予めチェックして、2種のメニューを用意したりする気配りも必要だ。
さて、外でロケする時に、食べるのを「ロケ弁」という。長期ロケになると、ロケ弁が続くことになる。何故だかわからないが、弁当の食事が続くと皆、妙にイライラしてくる。それだけにロケ弁がおいしいかまずいか、大変重要な問題になるのだ。収録は、スケジュール通りに進むなんてことはない。しかもほとんど“巻く”ことはなく“押す”。押してくると、食べる時間もぎりぎりになり、その上冷めた弁当に冷めたお茶、ますます気まずい雰囲気になる。
私がまだAP(アシスタントプロデューサー)の頃、こんな事件があった。
夜の8時頃に終了予定の録画がどんどん押してついにてっぺん(深夜0時)をまわってしまった。規則上深夜0時には休憩をとって深夜食を食べることになっている。そんな時、ついに技術スタッフが爆発した。
スタッフ「おい!深夜食どうなっている」
私「あのー。それは用意していないので…」
スタッフ「あのーじゃないよ。とにかく、弁当をなんとかしろ」
私「すいません」
深夜に弁当を100個急に頼める所なんてありえないし、困ったなぁ。と、そこでひらめいたのが24時間営業の牛丼屋さんだった。
「そうだ、出前出来なくても、こちらから取りに行けばいい」
すぐに車輌課へ飛んでいって頼み込み、ハイヤーをチャーター。都内の牛丼屋さんへ局のスタッフから、どんどん電話を入れてもらう。
「これから行くので20個作っておいて欲しい」「今ご飯がないので15個しかできません」「じゃ15個でもいいから」などと頼み、私がハイヤーで一件ずつ牛丼をピックアップ。かくして深夜の都内を牛丼屋から牛丼屋へ、黒塗りハイヤーが疾走して行った。
牛丼だらけのハイヤーで現場へ戻ってきて皆に配ったら、これが逆に大好評。出来たてを急いで持ち帰ったので、温かく、「こんなうまい深夜食は食べたことない」という声。タレントもスタッフも大喜び、一気に収録がはかどった。
私がまだ若かりしAPのころのエピソード。プロデューサーとは、実は気配りの仕事なのです。
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